『春夏秋冬土用で暮らす。五季でめぐる日本の暦』


土用のこと、知っていますか。

実は、「土用丑の鰻」だけではありません。

年4回、約72日間、季節と季節の間にあるのが土用です。

今注目を浴びている二十四節気や七十二候は、実は、自然の観察記録といわれています。

先人の人々が太陽のめぐりをもとにそのときそのときの自然の様子を言葉に記した記録であり、暮らしのヒントです。

本書では、暦の講演会等を通じて暦のあり方を説く「冨貴工房」の冨田貴史さんと、自然と旬を大事にしながら料理を生み出す料理研究家の植松良枝さんによる、春夏秋冬、そして土用の過ごし方を提案。

冨田さんが語る暦のあり方と季節ごとの養生のこと、植松さんが語る各季節のこまやかな暮らし方提案を、「土用」を軸に構成しました。

心地よい暮らしのために、まずは自然に目を向けてみましょう。

今気づくことの積み重ねが、あなたの軸を整えてくれるはずです。


『十二国記』を読む中で、あるいは畑仕事をする中で、「暦」というものに興味が湧いていたところ、先日読んだ銀色夏生さんの『本当に自分の人生を生きることを考え始めた人たちへ』の中で対談相手だった冨田貴史さんが、暦についてのご著書を出されていると知り、こちらを手に取りました。

旧暦って、大昔から変わっていないのかと思いきや、明治までの1,400年の中で、観測技術の向上によって『9回』も改暦されているんですね。

長い長い歴史の中で、たくさんのひとの手によってたいせつに育てられてきた暦だと知り、それまで抱いていた「旧い慣習」といった印象が180度変わりました。今なお進化し、私たちに寄り添ってくれる暦なんですね。


前半は、冨田さんによるわかりやすい暦の解説。

後半は、植松さんによる旬の食材の調理法や、その時期の暮らしの知恵が詰まっています。


「晩冬」のページに載っていた、酒粕を使った「鮭粕汁」。

昔おばあちゃんがよく作ってくれたなあと懐かしく思い出しました。よし、近いうちに作ろう。


植松良枝さんの書かれるレシピは、「情報」ではなく、「ものがたり」のようで、読んでいてこころが安らぎます。

ご著書の料理本、いろいろ読んでみたいと思います。


紋佳🐻

読書