『白衣の嘘』


短編名手が放つ、珠玉のミステリ六編!

悲哀にみちた人間ドラマ。

温かな余韻が残るラスト。

『傍聞き』『教場』を超える、傑作ミステリ集!

バレーボール全日本の女子大生・彩夏と、彼女を溺愛する医者の姉・多佳子。
彩夏の運転で実家に向かう途中、ふたりはトンネル崩落事故に遭ってしまう。
運転席に閉じ込められた妹に対して姉がとった意外な行動とは・・・(「涙の成分比」)。

命を懸けた現場で交錯する人間の欲望を鮮やかに描く、珠玉の六編。

「いつか“命”をテーマに医療の世界をミステリとして書きたいと思っていました。自分にとって集大成と言える作品です」――長岡弘樹


初めましての長岡さん。

最高でした・・・!好みすぎる。


医療現場を舞台にした、テンポよく読み進めやすい短編集で、それぞれのお話に、伏線やサプライズが。

「予想通り」なこともあれば「やられた!」ということもあって、その駆け引きも楽しかったり。


もちろん、ミステリ小説に必要な要素として、そういった構成・ネタを用意できる素晴しい腕前もお持ちなのですが、それ以上に、医学的豆知識や、知的な表現が随所に光っているのが素敵でした。

『その様子を横目で見ながら、友瀬は洗面器に水を張った。顔をつけ、十秒間じっと息を止める。
人間には本来、顔を水につけると脈拍が下がる「潜水反射」というメカニズムが備わっている。
緊張感をほぐすには、これが最も手っ取り早い方法だ。』

『「トリアージクイズだよ」
人物と症例を即興で想定し、それを治療の優先順位に従ってレベル分けしてみる練習だ。』


ふふふ、良かったです。

他の作品も拝読します!

星の数ほどいる作家さんたち。

そんな中で、お気に入りの作家さんと出会えることの有り難さときたら。

うれしいなあ。


紋佳🐻

読書