『かけら』
家族全員で出かけるはずだった日帰りのさくらんぼ狩りツアーに、ふとしたことから父と二人で行くことになった桐子。
口数が少なく、「ただのお父さん」だったはずの父の、意外な顔を目にする(表題作)。
結婚を前に、元彼女との思い出にとらわれる男を描く「欅の部屋」、
新婚家庭に泊まりに来た高校生のいとこに翻弄される女性の生活を俯瞰した「山猫」。
川端賞受賞の表題作を含む短編集。

なんて、媚びていない文章なのだろう。
写実的で、滑らかで、油断していたら、大事なことも、小さな砂粒が指の間からこぼれるように、取りこぼしてしまいそうな短編集でした。
作者の紹介を読んで納得。
2007年に芥川賞受賞。
2009年に川端康成文学賞を最年少で受賞。
淡々としている物語ばかりなのに、読み終えてみると、あちらこちらに、引っかき傷を負っていることに気がつく。
意外とこういう作品の方が、体力要るのよね。
嫌いじゃない。
雨音を聞きながら、じっくり、沈むように楽しみたい一冊。
紋佳🐻









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