『答え合わせ』


漫才に対する分析が鋭すぎて、「石田教授」とも呼ばれている石田明さんが「漫才論」について語り尽くした一冊。

「漫才か漫才じゃないかの違いは何か?」といった【漫才論】から、

「なぜM-1ではネタ選びを間違えてしまうのか?」といった【M-1論】まで、

漫才やM-1にまつわる疑問に「答え」を出していく。

読むだけで漫才の見方が一気に「深化」する新たな漫才バイブル。


NONSTYLEのスタイルとして、太ももを叩いて戒めるボケを、石田さんがやり始めた頃の話。

『(略)これも本来の漫才の形を壊しています。しかも、太ももを叩いて戒めるたびに、漫才の流れがいったん止まります。
漫才の基本としては、流れを止めずにどんどん展開したほうが気持ちいいはずなので、この点でも挑戦でした。(略)
でも実は、「あえて下手に見せてみよう」というのも狙いのうちやったんです。
「上手いだけ」と言われ続けた僕らからのカウンターパンチでした。』

「上手いだけ」、「台本があれば誰でもできる」と言われ悩み試行錯誤していた時代の苦労が、がむしゃらで格好良かった。

とにかく進化、前進し続けなければ生き残れない世界なのだなと思い知らされました。


『井上は飽きてくると、明らかにネタをやるときのテンションが低くなる。だったら新ネタで井上のテンションわ保っていきたいと思っています。
僕はなぜ、何のために新ネタを書くのか。
「自分が楽しみたい」「お客さんに楽しんでもらいたい」、これらに加えて「井上を楽しませたい」というのも、実は、漫才を続けるうえで大きなテーマなんです。』

ツンツンツンツン・・・の先にある、一瞬のデレ。

ああ、だからこのコンビは上手くいっているんだなあと、なんだかほっとするのでした。


吉本の養成所・NSCの講師を、関西でも関東でもされているという石田さん。

将来の夢は、いつか教え子と共演して、弄り倒してもらうこと。


この人は本当に、お笑いが好きなんだなあと、尊敬のきもちで胸が熱くなる一冊でした。


紋佳🐻

読書