『マンションポエム 東京論』


東京はポエムでできている。

空と緑の都市に咲くあだ花か、アーバンライフの幻想か。
マンション広告のコピーに託された〈東京〉の正体を読む。

「本の雑誌」連載および「手のひら1」掲載「マンションポエム東京論」、「手のひら2」掲載「どこまで東京?」を全面改稿、書き下ろしを大幅に加え、再構成。


ゆる言語学ラジオで取り上げられていて興味を持ち、拝読しました。

マンションポエムって、こんなに面白かったのね!

『「とき」の字が「刻」になっていたり、ふつう「住む」と表記するはずのところが「すまう」だったり「栖む」や「澄む」だったり。
「もり」はだいたい「杜」。「歴史と緑が織りなし」がちで「多くの文人が愛した土地」がちで、やたら「響き合い」がちで「心地よい風が吹き」がちといった特徴がある。』(「はじめに」より)

わざわざじっくり読んだことがなかったマンションポエムですが、たしかに、それくらいポエミーだったかも。


『なんか大山がいきなりポリコレにうるさくなったぞ、とお思いかもしれないが、これにはしがないフリーランスという、ローンが組めない人間のやっかみが大いに混じっている。』

学術的に面白いばかりでなく、大山さん個人の主観や感想も織り交ざっているところが、取っ付きやすい。

かなりぶ厚い本ですが、エネルギーを充電しながら読み進められるタイプの本でした。


マンションポエムは都市論(ディベロッパーの都市開発を当てつけたもの)という語り口はもちろんよくわかった。

都心を掌握しがちな「世界征服系ポエム」も、まあお金があったらそんな気持ちに共感できるものなのかもしれない。(そういった権力や財力に共感できる人が稼げる世の中なのだと思う)

鉄道利便性をうたう「鉄道・路線ポエム」も、駅近の土地を探した身としてよくわかる。

けれど、「ジェンダー」的偏見(マンションは男が買うもの、キッチンには女が立つもの、娘が恋人・・・)には、ぞっとしないですね。男とはかくあるべきといったマチズモ、ふうんという感じ。


AIにマンションポエムはつくれるか、という試みも。

その批評基準も、その章までに読者が学習しているので大山さんの言っていることがよくわかっておもしろい。

エレガントで詩的なマンションポエムを吐き出してくれるAI、アイデア出しのツールとして有効なのがよく分かりました。

AIが悪ではなくて、その使い方だよなあと改めて、その付き合い方を考えるのでした。


『子供でなくなる、というのは、イメージに染まる、ということなのかもしれない。そして大人になるということは、さらにそれを相対化することだと思う。
息子が今後この街を、これから訪れたり住んだりするであろう街を、どのように受け止めるのか楽しみにしている。』

あとがきの、この締めくくりも好きでした。

読み終えた後に表紙を眺めると、またおもしろい。


今後、マンションポエムに触れるたびに、本書で学んだセオリー・味わい方が、ちからを発揮してくれるに違いない。

ためになるし、たのしい本でした。


紋佳🐻

読書