『春になったら莓を摘みに』


「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。

「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。

ウェスト夫人の強靱な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける。

物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。


戦時中、日本人の血が一滴でも入っているだけで収容所に強制送還された日系の方々のエピソードは、かなりショッキングでした。
アメリカの市民権を持っているのにも関わらず、そんな人種差別があったなんて。
やっと解放されたと思ったら日本に送られ、そこでも迫害を受け・・・。
そういった「記録の無い(意図的に抹消された)歴史」を、こうして知る機会を与えてくれる本に、出会えてよかったと思いました。

「従軍慰安婦」についても、直接関わっていない世代に生まれた人間は、どう受け止め、関わっていけばいいのか、
ずっと分からずに、知らないふりをしていた私に、「ヒント」をくれるようなか所も。

いま並行して読んでいる他の本も、人種差別に関わってくる書籍で、
先日は「在日」を扱った作品も観劇して・・・

この歳になって、そういうことをきちんと受け止めなさいと、巡り合わされている気がします。


紋佳🐻

読書