『時が止まった部屋』


孤独死、ごみ屋敷、残されたペ ットたち―

故人の部屋を片づけ、弔いつづける27歳の遺品整理人が、依頼現場をミニチュアで再現。
死と向きあってきたからこそ伝えたい想いを初書籍化。

社会問題化するいま、わたしたち一人ひとりにできることは何か。

ミニチュアを通して静かに問う。


淡々とした文章が、とても大人びていて、冷静で、整然としていて。

(お若いけど、たくさんの方の人生に触れてきたんだなあ・・・)というのが伝わってきて、畏敬の念を抱きました。


ごみ屋敷の実態も、とても勉強になりました。

職業上の理由で、激務をこなして帰宅したときには全てのエネルギーを使い果たしてしまい、自分のことが後回しになってしまう人。

夜勤勤務で、朝にごみ出しができず、違う時間に出したところご近所さんに注意され、ごみを出すのが怖くなってしまった人。

ストーカーが常に漁るので、ごみが出せず苦しんでいる人・・・

「ごみ屋敷」とひと言で表しても、さまざまな事情があるんですね。


『部屋の住人は、社会との関わりを自ら断ってしまっていた人が多い。
ごみ出しのときに近所の人に挨拶を返さなかったり、家にいても居留守を使うことが多かったり。
料理もせずにコンビニ弁当、そのほかの買い物は家から極力出ずにネットショッピングで済ませてしまう。
そのため、外で姿を見かけない日が続いても、誰も気がつかない。』

コロナ禍で、ネットショッピング需要が拡大し、外出を控え・・・

もしかして、「孤独死予備軍」が増えているのではないか。そう思わされる内容でした。


ニュースでちらりと拝見したことのあったミニチュアたちはもちろんですが、

ご本人の言葉に含まれる真実に、静かに胸を打たれ続けました。

読んでよかった。


紋佳🐻

読書