『52ヘルツのくじらたち』


「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」


自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。


孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

注目作家・町田そのこの初長編作品!


巷の話題作!ようやく読みました。

読み終えたあと、誰もが救われる物語ですね。

後味悪い系が好きな私ですが、この作品、とても好きです。


『彼女はいつまでも、可愛がられる側でいたいんでしょうね』

虐待、育児放棄された子どもの姿が、読んでいて胸を締め付けるのですが、その親にも事情はあって。

ただ私の中で、子どもを虐待する親って「自分自身が愛情を注いでもらえなかった」というイメージがあったのですが、そのパターンと、

「可愛がられすぎて、いつまでも自分がお姫様でありたい」という真逆のパターンもあるのだということに、衝撃を受けました。


傷ついた人の声を、聞いてくれる人がいる―

世の中捨てたものじゃないなと思える物語です。


福田利之さんの装画がとにかく好み。

ジャケ買いしちゃうやつですね。


紋佳🐻

読書