『火車』


休職中の刑事、本間は遠縁の男性に頼まれ、失踪した婚約者の行方を捜すことに。

だが女性の意外な正体が次第に明らかとなり・・・。

山本周五郎賞受賞作品。


いままで読んだことのある宮部みゆきさんの作品の中で、1番好きです。

すっかり魅了されました。


『生真面目で気の小さい人』がどのようにして借金地獄へと転落、自己破産していくのかがよくわかる内容で、きっかけさえあればどんな人にも訪れるであろう不幸に恐れ戦きました。


クレジットカードの歴史、仕組みについて詳細に語られていて、その便利さの反面、いかに消費者が食いつぶされているかを知りました。

法律は守ってくれない。

世間の見る目は冷たい。

そんな孤独な人たちが、どれ程多いことか。


ひとつ、またひとつとヒントを手に入れては、また次のヒントを得るべき場所へと向かう・・・

ゆっくりと、しかし着実に真相へ近づいていく様子が、焦れったくもあり、ワクワクしました。


警察手帳を使わない(使えない)状況での、刑事(主人公)の聞き込みの手口の鮮やかさも読み応えがあります。


紋佳🐻

読書