『赤と青とエスキース』


2022年本屋大賞 第2位!メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。

日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく―。

二度読み必至!

仕掛けに満ちた傑作連作短篇。


エスキース。

「下描き」ではなくて、本番と違う紙や板に、自由に描いて構想を練るもの。

私は『完成に近づいていく過程が好き』なタイプだから、『完成形に関係なく、自由に色んなことを試せるエスキースが好き』という感覚が、あまりピンとこない。

きっと私は、0から1を生み出すよりも、1を膨らます方が好き。

でも、だからこそ、読んでよかった。

0から1を生み出す人たちの、苦悩や幸福を体験することができました。


青山さんの作品は、短編と短編が、「場所」や「人」で繋がっているのが特徴ですが、今回はメインの人物たちの「大きな流れ」が描かれていて、人生の重みが感じられる素敵な物語たちでした。


どの短編にも「赤」と「青」の対になる象徴が現れるのもよかった。


画家、額職人、画廊経営、ギャラリーカフェ・・・

絵画にまつわるさまざまな世界を覗くことができました。


紋佳🐻

読書