『定食屋「雑」』


真面目でしっかり者の沙也加は、丁寧な暮らしで生活を彩り、健康的な手料理で夫を支えていたある日、突然夫から離婚を切り出される。
理由を隠す夫の浮気を疑い、頻繁に夫が立ち寄る定食屋「雑」を偵察することに。

大雑把で濃い味付けの料理を出すその店には、愛想のない接客で一人店を切り盛りする老女〝ぞうさん〟がいた。
沙也加はひょんなことから、この定食屋「雑」でアルバイトをすることになり—。

個性も年齢も立場も違う女たちが、それぞれの明日を切り開く勇気に胸を打たれる。

ベストセラー作家が贈る心温まる定食屋物語。


「ぬか漬けなんて買うこともできるけど、キャベツのぬか漬けと古漬けだけは自分でぬか床を持っている人だけの特権だからね」

夏といえば、という流れで登場したぬか床。

自分も夏に向けてぬか床生活を再開したばかりだったのもあって、うれしくなりました。

そうか、古漬けは、特権なんだ。


美味しいご飯とお酒が登場するだけで終わらないのが原田さんの作品。

不器用でなかなか素直じゃないおばあさま店主が、夫に離婚を突きつけられ人生に挫けそうになっている女性との交流を通して、少しずつ柔らかくなっていく様子がとても良い。


常連のおじいさま、定食屋の先代・・・

色んな人の人生が、お互いに少しずつ影響し合って、その人自身をを形づくって。

自分の人生を生きていくこと、生き抜くことに、前向きになれる一冊でした。


それにしても。

やはり、食事における価値観の違いは、真っ当な離婚理由になり得るだろうと、私も思うのですよ。


紋佳🐻

読書