『酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する』


本当にそんなことがありえるのか!?

世界の辺境を旅する高野秀行も驚く“ 朝昼晩、毎日、一生、大人も子供も胎児も酒を飲んで暮らす” 仰天ワールド!

話題騒然の「クレイジージャーニー」の全貌が明らかに!

目撃者たった一人のUMA状態の酒飲み民族を捜しに、裸の王様に引率された史上最もマヌケなロケ隊が、アフリカ大地溝帯へ向かう!


『空港から始まる旅行記にはろくなものがない。
成田であっても目的地の空港であっても―
というのが私の持論なのだが、この旅行記は私が成田空港へ向かうところから始まる。[brろくな旅行でないことがこのことからもすくわかる。』

から始まる第一章、まるまる「出発前の国内の話」な(飛び立てていない)のが面白すぎる。

さすが高野さんすぎる。


『「エチオピア好きはアフリカ好きではない」という話がある。
研究者にしても援助関係者にしても、ケニアやコンゴが好きなら他のアフリカ諸国にも興味があるし、アフリカ全体が好きであることがふつうなのに、エチオピア好きは他のアフリカにさして興味がないと言われる。
あたかもエチオピア好きが「偏狭な性格」みたいに聞こえるが、エチオピアを旅していると無理もないと思ってしまう。
他のアフリカとあまりにちがうからだ。』

日本でいうところの京都に似ているのだそう。

一瞬だけイタリアに占領されただけで、ヨーロッパの国の植民地支配を受けていないことが、大きな理由の一つで、歴史的な民俗文化が未だに根付いていたり。


紆余曲折ありながら、「クレイジージャーニー」は放送されたものの、旅の半分以上がカットされ、構成も願ったものとはちがう形となった・・・おかげで、今回の旅が一冊の本になったというのだから、企画から関わっている番組に心から感謝です。

最後は、未来への展望を感じさせてくれる爽やかな終わり方で、泥臭い旅が、美しくまとめられているのでした。

本当にこの人は凄い人だ。


紋佳🐻

読書