『ロイヤルホストで夜まで語りたい』


このまま1日を終わらせたくなくて夜景を見たくなったときも、
魔法のように仕事を進めたいときも、
「自分の中の確信」が揺らいだときも、
ロイヤルホストは、いつもそこにいてくれた。

ハワイの空港みたいな匂いのパラダイストロピカルアイスティー、個人所有のポテトフライ、生まれて初めて食べたラムステーキ・・・。

はじめても、いつもも、あこがれも、とくべつも詰まったロイヤルホストの味。


見返しはもちろんロイヤルホストオレンジ。

読む前からロイヤル感が演出されています。


『成瀬は天下を取りにいく』の宮島さんのエッセイによれば、成瀬の舞台でもある滋賀県大津市は、県庁所在地にも関わらず、そこはあくまでも官庁街。

飲食店や商業施設に乏しく、唯一といっていいファミリーレストランが、ロイヤルホスト浜大津店であるとのこと。

作品の中にも登場しているあたり、ロイヤルホストへの深い愛を感じます。


ノンフィクション作家の村瀬秀信さんは初めましてだったのですが、

『大塚くんだりにロイホがあってくれたおかげで、俺の人生はギリギリの潤いを保てている。』

・・・もう冒頭から面白い。

他の作品も拝読したいと思わされる文章のリズムでした。


ここで、私のロイヤルホストに関する思い出を聞いてほしい。

パンケーキに添えられたマーガリンを「溶けかけたアイス」と信じて疑わなかった幼い私。

大急ぎで一口に頬張り、その後どれだけ水を飲もうとも、気持ち悪さが癒えることはなかった、という悲しい思い出である。

その思い出を更新すべく、ほとんど行ったことのないロイヤルホストに、大人になったいま、行きたいと思うのでした。


ハリセンボンさんのYouTubeチャンネルを拝見していて、「藤井隆さんとの対談が載っています」と紹介されていて初めて存在を知ったこちらの新刊。

話題になるだけあって、どの作家・ライターさんも、それぞれのロイホ(またはロイヤル)への深い愛をお持ちで楽しめました。


同じテーマに対する寄稿で作られるアンソロジーは昨今の流行りでもあると思うのですが、その世界線では間違いなくトップレベルの情熱を感じさせる作品集でした。


紋佳🐻

読書