『流浪の月』


2020年本屋大賞受賞!
第41回(2020年)吉川英治文学新人賞候補作。

せっかくの善意をわたしは捨てていく。
そんなものでは、わたしはかけらも救われない。

愛ではない。けれどそばにいたい。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。


『わたしの美しい庭』を読んで大好きになった凪良ゆうさんの第17回本屋大賞を受賞された本。

大人の教育に束縛されたり、その逆で、自分を優先する自己中な親に放置されたり・・・

親を選べない子どもの孤独が切なく、静かに描かれていました。


誘拐犯と被害者。

本当は「保護してもらっただけなのに」と、フォローすればするほど、『ストックホルム症候群(自己防衛のために加害者に好意・信頼を抱く)』だと決めつけられて。

真実とはこんなにも伝わらないものかと、読んでいて歯がゆい思いでした。

世間が仕立てたい物語に、事件がどんどん脚色されていく様子に、失望感と憤りを感じずにはいられません。


何度も登場する、フレンチフライに添えられた「ハニーマスタード」と「アイオリソース」がとても印象的で、とても美味しそうでした。

今度我が家でもやってみよう。


『用事があれば連絡しなさいということは、用事がなければ電話をしてはいけない、ということだろう。』

私なら、頼っていいのねと受け取ってしまうのに。
同じ言葉を、まったく逆に受け取ってしまう・・・

受け取らずにはいられない環境というものがあるんですね。


『幸せな人ってたいがい鈍いよね』

さらりと飛び込んでくる会話が、刺さります。


映画化してそうだなあとおもったら、広瀬すずさんと松坂桃李さんで2022年に公開だそう。


紋佳🐻

読書