『ジャッジメント』


大切な人を殺された者は言う。
「犯罪者に復讐してやりたい」と。

凶悪な事件が起きると人々は言う。
「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。

凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。

それが「復讐法」だ。

目には目を歯には歯を。

この法律は果たして被害者たちを救えるのだろうか―。


被害者の関係者である「選択権利者」は、
「旧来の法」に基づく判決か、あるいは自らの手で刑を執行する「復讐法」を選択できる。

『大切な人が殺された時、あなたは復讐法を選びますか?』

という、問いかけから始まる物語。


被害者が殺害されたときと同じ方法で、合法的に殺人が可能なこの法律。

犯罪者を葬ることで、救われる人もいれば、
合法でありながらも「殺人に手を染める」というプレッシャーやストレスによって、苦しみ、自殺をしてしまう人も。


5件の殺人事件が扱われる中、
語り手は、執行者たちを最後まで見守る「応報監察官」。

メディアによる報道、ネット上の書き込み、
復讐法反対のデモ運動など・・・

当事者、第三者の感情とは別に、その「監察官」の葛藤が描かれていくのがよかったです。


5つの殺人事件のそれぞれが、全く状況が異なる事件で。

法律の汎用性について、思いを巡らせるのでした。


紋佳🐻

読書