『殺した夫が帰ってきました』


記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。

謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。


読者に最低限の情報しか与えまいとする文章は、ミステリアスな雰囲気を演出する一方で、どこか薄味(うすあじ)で、個人的にはやや物足りない味つけでした。

それぞれの人物(特に主人公)の人間性をもっと深く知ることができたら、ラストはもっといろいろと考えさせられる物語になっていたかなあ。もったいない。

会話文が多めで、地の文は堅め。
台本のようだなあという印象で、読み手の想像力に頼った(想像する余白があるともいう)物語でした。


あと、この内容だったら、最後に救いの手を差し伸べて欲しくない・・・!というのは私の好み(笑)

外からの影響で生まれる希望より、主人公が葛藤して、苦しんで、何かを掴もうとする姿を、もっと見たかったです。


でもタイトルの掴みは最高だと思う。

これは読みたくなる。


紋佳🐻

読書