『星の王子さま、禅を語る』


全世界で70年以上読み継がれているサン=テグジュペリの『星の王子さま』、この大ベストセラーに禅の思想がある?

一見、難解で近寄りがたい禅、しかしそれは私たちの生活の身近なところにたくさん転がっている。

これを禅僧であり、英米文学者でもある著者が『星の王子さま』を題材に、楽しく、わかりやすく説いてくれるユニークな入門書。


『結論はこうです。目に見えない部分が本当に充実していれば、目に見える部分にも、自ずから、それが表れてくるのが真実ではないでしょうか。
ことさらに人目を気にしない、裏も表もない、自信のある生き方を表した、良寛さんの辞世の句が、私はとても好きです。

裏をみせ表をみせて散る紅葉(もみじ)

誰でも、本当に内面が充実しているときは、裏も表も気にならないものです。』

「目に見えないものがたいせつなんだよ」と言われてもピンと来にくい人にも、この説明なら、すごく伝わるのではないでしょうか。

とても分かりやすい。


『主人公という言葉は、一般には小説や事件の中心人物の意味で使われていますが、禅では、人間存在の中心となる本来の自己、アイデンティティのことを「主人公」と呼びます。』

へぇ~!が止まりません。

禅、仏教の、難しそうな教えも、やさしく噛み砕いてくださっていて勉強になります。


『自分の一生を、振り返るとき、生きてよかったと実感するには、やはり、誰かを、何かを愛したかどうか、ではないでしょうか。

対象は、家族であれ、仕事であれ、友であれ、そのほか何であっても、愛する心をもって一生を終えるかどうか、それこそ、さわやかな人生のための原点ではないでしょうか。

生まれて、愛して、死ぬ。それが、束の間の人生を与えられた人間の、精一杯なすべきことにちがいありません。』

死んだらどうせ何も残らないじゃないか・・・

と生きることに消極的になる波が訪れたら、定期的にこのお話を思い出そう、と思いました。


フランスなら『星の王子さま』で、ドイツなら『モモ』・・・という発想で、

・『モモも禅を語る』(ドイツ)

・『アリス、禅を語る』(イギリス)

・『大草原のローラ、禅を語る』(アメリカ)

もあるのだそう!

ぜひ、拝読したいと思いました。


紋佳🐻

読書