『純喫茶パオーン』


創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。

その昔ながらの喫茶店には、なぜか不思議な事件と、個性的な人々が引き寄せられる。

看板メニューはおじいちゃんの「特製ミルクセーキ」おばあちゃんの「魔法のナポリタン」!

店主の孫の「ぼく」が見た、どこかとぼけて愛らしい温かな日々と少しの謎。

『しずかな日々』『るり姉』の著者が描く喫茶店ミステリー。


ナポリタンに、ピラフに、ミルクセーキ・・・

純喫茶に行きたくなってしまう美味しそうな料理、ドリンクの数々。

素敵でした。


主人公が、小学6年生、中学生、大学生と成長していく様子が、3編にわたって描かれています。

小学校の課題の話から、初めての彼女の話まで・・・喫茶店を舞台に、どこかレトロで懐かしい感じ漂う作品でした。

この穏やかさ、好き。

ミステリ要素も良いスパイス。

『しずかな日々』でも感じたけれど、椰月さんは少年たちの瑞々しい純粋な気持ちを綴るのがとてもお上手ですね。


大人の世界に疲れたら、飛び込みたくなるような。

やさしく、透き通った物語でした。


紋佳🐻

読書