『揺籠のアディポクル』


孤立した無菌病棟に、少年と少女。
翌朝、一人だけになった。

ウイルスすら出入り不能の密室でー
彼女を誰が殺した?


半人形――それがコノハの最初の印象だ。
隻腕義手の痩せた少女が、タケルのただひとりの同居人だった。

医師の柳や看護師の若林とともに、病原体に弱い二人を守るはずだった無菌病棟、通称《クレイドル》。

しかし、ある大嵐の日、《クレイドル》は貯水槽に通路を寸断され、外界から隔絶される。

不安と焦燥を胸に、二人は眠りに就き、
そして翌日、コノハはメスを胸に突き立てられ、死んでいた。

外気にすら触れられない彼女を、誰が殺した?


感染症を取り扱った内容に興味が沸いて手にした本。

読了後の印象はなんだか、『インシテミル』に近かった。
クローズドサークル、青い空、隔離された場所、システム化された建築物、若い主人公・・・そんな素材がそう思わせたのかも。


ミスリードの罠にまんまとハマること複数回。
ミステリであり、ホラーのような、読んでいて背筋がゾクッとする作品でした。

家族が寝静まった真夜中に読むにはちょっと恐かった。


紋佳🐻

読書