『東京あたふた族』


あたふた族は、せわしない。

なにを隠そうわたしもその一員である。

デビュー直前までを描いた「上京物語」、
コロナ前と後の日常(朝日新聞連載「オトナになった女子たちへ」)、
「終電後」「のび太と遊んだ空き地」など味わい深い随筆作品・・・

3部構成で贈る、長編小説のようなエッセイ集。


ひとり上京したときの、あの開放的な孤独感。

真夜中にファストフード店に行っても、昼間まで寝ていても、誰にも怒られない、あのワクワクするような背徳感。

自分自身の、東京で一人暮らしを始めた当時のきもちを、痛烈に思い出させくれるエッセイでした。


初めての部屋探し、
イラストの売り込み、
様子を見に来たお母さまとの思い出、
可愛がっていた地域猫の話、
全てが青春って感じ。
自分もあの時代、ガムシャラだったことを思い出します。


『ラーメンを食べ終え、おやつ用の甘いパンを買い、コーヒースタンドでコーヒーを飲んで家へと向かう。
いい日だ。完璧だ、と思った。』

好き。


ミリさんの歴史に触れることができる上、自分の過去にもタイムスリップできる、そんなタイムマシンな一冊です。


紋佳🐻

読書