『小さな幸せ46こ』


「最悪の思い出が時間をかけたら最高に変わる」
「小さな幸せは「なん個」と子どもみたいに数えたい」―

両親の死、家族へのまなざし、友達や愛犬・愛猫との絆、食や旅の愉しみ・・・

出会いと別れを繰り返しながら人生は続いていく。

何気ない日常の中の“小さな幸せ"を瑞々しく捉えた幸福論的エッセイ。


5~6頁ずつのショートが46本詰まった、隙間時間に読み進めやすいエッセイ本。

小説家として、妻として、母として、ひとりの人間として・・・悩み、傷つき、忙しい日常に必死にしがみついて暮らしている、そんな等身大のばななさんに出会うことができます。


お友達が多くて、世界中で仕事をし、旅していて。
ああいいなあと、羨ましくなったり。

人生も3分の1以上過ぎてくると、そろそろ自分の人生が見えてくる。

人によっては、夢や目標の達成によって、大きく人生が変わることもあるかもしれないけれど、どんな人生を自分が望んでいるのかくらいは、自分のことだから分かってきた。

だからきっと私は、これからも国内を旅するんだと思う。

だからこその、憧れ。


『大人になると子どもだった頃みたいには無邪気にものが考えられない。だからこそ、小さな幸せは「なん個」と子どもみたいに数えたい。それがタイトルに込めたかった小さそうで大きな意味だ。(略)
子どもはその「個」がいくつになったらいいとか、思ったりしない。ただただ数えるだけ。それってとてもいいことだと思う。』


私がエッセイを読むのが好きなのは、その人の感性や考え方に触れることで、自分の暮らしの中で何かを感じたり考えたりするヒントをもらいたいからなんだと思う。

そんなヒントがたくさん散りばめられた、親しみやすく上質なエッセイ本でした。


紋佳🐻

読書