『あなたには、殺せません』


殺したい、でも捕まりたくない!そんなジレンマを殺る前に徹底検証!
こんな倒叙推理、読んだことがない!

ミステリ評論家 千街晶之


「犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」―

そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。

相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。

不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。

犯罪発生を未然に防ぐ!?

新しい形の倒叙ミステリ短編集!


密室で静かに待ち構えるのは、知的で冷静な相談員。

殺したい相手、理由、状況等を相談者から聞き出し、様々な殺害の可能性を精査していく作業は、一見カウンセリングのようでいて、実は最良の殺人方法の確立へと、相手を誘導しているという皮肉。

真実はどちらなのか、という謎がまた、痺れます。

ストーリーによっては、ハッピーエンドであったり、バッドエンドであったり、その後の描かれ方が全く違うので、導入の型が同じ短編でも、飽きることなく読み進められました。


そして、イラストがとても良い。

作品にピッタリです。

各短編、読み終える度に、扉絵に戻って、ぞくりとしたり、感情が揺さぶられるのを楽しみました。


発売から1ヶ月で重版決定となった、短編ミステリ。

ミステリが好きな方は、ぜひ。


紋佳🐻

読書