『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』


日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。

なぜヒトはことばを持つのか。
子どもはいかにしてことばを覚えるのか。
巨大システムの言語の起源とは。
ヒトとAIや動物の違いは?

言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。

鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。

認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。


『(略)言語はあくまでも、極度に抽象的な記号の体系である。このことは間違いない。
すると、身体と、言語という抽象的な記号の体系の間を、何かで埋める必要があるのである。(略)
言語の特徴を持ちながら身体につながり、恣意的でありながらもアイコン性を持ち、離散的な性質を持ちながらも連続性を持つというオノマトペの特徴は、ミッシングリンクを埋める有望なピースとなる。』

オノマトペを切り口に、幼児の言語習得について考察されているのがおもしろかったです。

確かに幼児向けの絵本って、オノマトペ祭り!

発音器官の使い方によって、音の印象が身体的感覚として身についたり、五感から言語を習得していく過程があるというのはとても腑に落ちます。

言語習得の授業もたくさんあった言語学科卒業な私ですが、当時気づかなかった内容ばかりで、刺激的でした。
(でも学んだことを総体的に考察してくださっているという見方もでき、だからこそより深く腑に落ちるのでした。)


『(略)「ぴえん」が流行すると、さらなる気持ちの昂りを表現するため、対比的に「ぱおん」が用いられるようになった。(略)
ここで「ぱおん」とは、そのような声を出して泣きたくなるほど悲しいという意味であり、実際には声を出していなくてもよい。
泣き声を写すことによって、その原因である強い感情を表す換喩である。』

みなさんは、「ぱおん」という表現、ご存知でしょうか。

私は知りませんでした。

「ぴえん」からの「ぱおん」・・・え、秀逸。

日々生み出される新しい言葉にも、これまでの言語発展の先例を踏襲している特徴があり、なるほど、そうやって研究する方法もあるのだなと興味深く拝読しました。


『そのデータベースの一部を本書で紹介することを許可してくださったチャンネル主催者の水野太貴さんと堀本見さん、そしてすばらしいデータを共有してくださった番組リスナーの方々に、心よりお礼を申し上げたい。』

ゆる言語学ラジオをきっかけとして、この本を手に取ったわけですが、度々番組が登場するのも、リスナーとしてうれしいのでした。

言語系好きな方は、ぜひ!


紋佳🐻

読書