『悪童日記』
戦火の中で彼らはしたたかに生き抜いた―
大都会から国境ぞいの田舎のおばあちゃんの家に疎開した双子の天才少年。
人間の醜さ、哀しさ、世の不条理―
非情な現実に出あうたびに、彼らはそれをノートに克明に記す。
独創的な手法と衝撃的な内容で全世界に感動と絶賛の嵐を巻き起した、女性亡命作家のデビュー作。

いまこの瞬間、清潔な服を着て、柔らかい布団にくるまってこの作品を読んでいることが心苦しくなるような、運命的な貧しさと侘しさと理不尽さを突きつけられる内容でした。
『ぼくらはわざと、人びとに罵られるようなことをする。そして、とうとうどんな言葉にも動じないでいられるようになったことを確認する。
しかし、以前に聞いて、記憶に残っている言葉もある。
おかあさんは、ぼくらに言ったものだ。
「私の愛しい子!最愛の子!私の秘蔵っ子!私の大切な、可愛い赤ちゃん!」
これらの言葉を思い出すと、ぼくらの目に涙があふれる。
これらの言葉を、ぼくらは忘れなくてはならない。なぜなら、今では誰一人、同じたぐいの言葉をかけてはくれないし、それに、これらの言葉の思い出は切なすぎて、この先、とうてい、胸に秘めてはいけないからだ。』
愛された記憶を手放すことで、苦しみから逃れようとする子どもたちの姿に、胸が引き裂かれる思いでした。
食べるものもない、希望も夢もない。
自分の身体を兵隊に差し出して、犯されることで、自分を痛めつけることで生を実感する。
そんな世界に、してはいけない。
戦争の悲惨さをここまで突きつける「小説」を他に知りません。
一方で、少年たちの冒険譚でもあるこちらの作品。
続きが気になる終わり方は流石で、まんまと2作目を予約したのでした。
貸していただいた、クラリネット吹きのお姉さまに感謝して。
紋佳🐻









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