『人魚が逃げた』


ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。

どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって・・・逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。

彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め―。

そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。

12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、
娘と買い物中の主婦、
絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、
文学賞の選考結果を待つ作家、
高級クラブでママとして働くホステス。

銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。
そして「王子」は人魚と再会できるのか。
そもそも人魚はいるのか、いないのか・・・。


いつもの。

まるで行きつけの定食屋さん。

どれを注文しても美味しい保証があって、
必ずついてくるお味噌汁は丁寧に出汁がとられていて・・・そんな感じ。

(青山さんにハズレなしと言いたい)


年齢も性別もそれぞれの登場人物たちが、同じ空間に存在したり、同じニュースに関心を抱いたり。

そんなふうにして、青山さんの作品は、この世界のどこかで本当に起こっているような「生っぽさ」が感じられます。

自分もその世界にいるような感覚。


コラボしたU-kuさんの絵が登場したりするところにも、青山さんの愛を感じました。


『名作って、どんな作品のことを言うんだろう。
評価されるべきは、作家なんだろうか。
たとえば『桃太郎』も『一寸法師』も、作者不明なのに。』

刺さる台詞がまたいくつもありました。

お洒落な伏線も、展開も、ぜんぶ好き!


紋佳🐻

読書