『あとはおいしいご飯があれば』


子どもの寝かしつけの最後の日、深夜にこっそり口にした大人たちの秘密の夜食。

高校時代にたった一日だけお昼を一緒に食べた、風変わりな友達がわけてくれたお出汁。

結婚前にやっと母に感謝を伝えられた日、伝授された炊き込みご飯。

夫の昔の恋人を想像しながら一人で啜る、夜のラーメン。

なんでもない日常の中で浮かび上がる、色鮮やかなショートストーリー13話+作中に登場する料理の作り方を収録した、心温まるレシピ物語集。


一編一編がしっかりとしていて、どの登場人物たちにも深みがあって、短編ではなく長編で読みたいと思えるほどでした。

それぞれが接点を持っていたりするのも面白かった。

よくこの短さの中でと、感心してしまうほど。


眉毛を描いているときに息子が「靴下はこれじゃないのがいい」と泣き、娘は娘で、「あっ、今日は体育だった、帽子がない」と言い出す。
そうなると自分の眉毛なんてもう二の次だ。

エッセイを読んでいるのかと思うほどの臨場感。

母親目線のものは特に好きでした。

(それ以外にも、老若男女キャラクターが登場するのが良いです。)


作中で登場してきた料理は、それぞれの物語の後、レシピで紹介されているのですが、
どの料理も「だし」を使っていて、読んでいるだけで胃が和らぎました。

※監修が「にんべんだしアンバサダー」の杉本史織さんで納得。


紋佳🐻

読書