『チョコレート・ピース』


その一瞬に、祝福の一粒を。

チョコバナナ、キューブチョコ、マカダミアナッツチョコ、
チョコチップクッキー、アソートチョコ……
人生の小さな曲がり角にちりばめられた
彩りさまざまなチョコレートが
主人公の背中をそっと押す―

チョコバナナ×恋の予感  
キューブチョコ×推し活 
マカダミアナッツチョコ×結婚  
チョコチップクッキー×友情
シガーチョコ×大人  
ハイカカオ×失恋 
チョコレートアソート×決意 ……etc.

受け取って、差し出してー
祝福の連鎖が動きはじめる


もはやうずうずと、くすぐったくなってしまうような青春の1ページがあったかと思えば、
アンニュイな大人な雰囲気のお話もあって。

雑誌ananの連載ぶんが半分混ざっているそうなので、それがそうなのかなあとか想像したり。


『雨音が強くなってきて、私は部屋で流していた音楽を消した。
ついでに、電気も消した。
カーテンは半開きのままだ。
壁の時計を見ると、夕方にさしかかろうとしていた。
刺激のない薄さにくるまれながら、私はソファに横たわる。
予定のない日曜日は、久しぶりだった。
私は目を閉じる。眠りたかったわけではないし、どうせ眠れもしないけれど。』

『私は窓の外に目を向ける。
失ってどこも痛くないなんて、そんな恋じゃなくてよかった。』

『好きだと言えないぐらい、好きだった。』

かぁーーー。良い!

青山さんの文章でこんなに大人っぽいものを読めるなんてと、感動してしまいました。


「もちろん最初からうまくいくなんてことはなかったですし、何度もすっ転びましたけど。
でも起き上がるたび、いつのまにか少し進んでいる気がするんです。きっと前に向かって転んだのね、ああ、よかったって思うの。今もそうですよ。いくつになってもね」

こういう表現はまさに、青山さんらしくて。

前に向かって転んでると思ったら、立ち上がる勇気が湧いてきました。


青山美智子さんといえば、一話完結風の短編が、人物や出来事を媒介してゆるやかに繋がっていく連作短編集が特徴といっても過言ではないけれど、(・・・ん?今回はそうではない。珍しい。)と思っていた矢先!

中盤に差し掛かったところで謎が解けました。

そういうことね。

新たな青山さん、ここに発見です。


ひとつだけ言いたいことがあるとすれば。

‎1.7 x 11.8 x 18.8 cmという細長い判型にもかかわらず、紙が・・・硬い!

読んでいるうちに親指が腱鞘炎になるかと思いました。

開き続けるのが辛いというのは、読書体験として少しざんねん。

手の大きい私が感じるのだから、みんな感じているだろうなと思うのでした。


紋佳🐻

読書