『溺レる』


ちょっと古臭くて、ファンタジーの要素さえも含む『溺レる』の短編集。

川上弘美さんが描く人物は、よく「食べる」。

しかも、本人たちは食べることを楽しんでいるというより、『そうせざるを得ない』というように、何かに急き立てられながら、貪り食う。

その様子が、禍々しくて、上品で、読み手の心を掻き回します。


「食べる」とは「生きる」こと。

美しくて、恐ろしい行為。



紋佳🐻

読書