『ブラザー・サン シスター・ムーン』


ねえ、覚えてる?空から蛇が落ちてきたあの日のことを―

本と音楽と映画、それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。

高校の同級生、楡崎綾音・戸崎衛・箱崎一のザキザキトリオが過ごした大学時代を描く、青春小説の新たなスタンダードナンバー!

本編に加え、三人の出会いを描いた単行本未収録作「糾える縄のごとく」、さらに文庫版特別対談「恩田陸、大学の先輩と語る」を収録。


ひさしぶりの恩田さん。

瑞々しい表現が、読んでいてきもちいいです。


『自意識過剰なのにコンプレックスの塊で、やっとプライバシーを手に入れたのに人恋しく、何者かになりたくてたまらないのに、足を踏み出すのは恐ろしかった。』


『あたしには無理だ。そもそも楽器を持ち歩くこと自体、気恥ずかしくてできそうにない。あの楽器の重さは、彼女の自意識の重さだった。 本当はやりたいことがいろいろあるのに、どうしてこんなに何もしていないのに、何かをする前からなんでもあきらてしまうんだろう。』


こどもでもなく、大人でもない、「大学生」という時期に抱く繊細な感情が、恩田さんの手にかかればスっと心に入ってくる。相変わらずちからのある作家さんだなあって感心してしまいます。


恩田さん自身学生の時、ビッグバンドでサックスを吹かれていたと知って、親近感が増しました(*^^*)


#ブラザーサンシスタームーン

#恩田陸



紋佳🐻

読書