『 i 』


「この世界にアイは存在しません。」

入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出した。

ワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは―。

「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―

直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!


『サラバ!』ぶりの西加奈子さん。
吹奏楽団のクラリネット吹きのお姉さまが、何も言わずに手渡してくださった本。(そういうのだいすきです)


「この世界にアイは存在しません」
から始まる物語で、
そのフレーズが度々繰り返されるのですが、その時々で、胸が潰れそうなくらい辛い気持ちになったり、ふっと視野が広がって心が軽くなったり、絶望の先の無を感じたり・・・

呪いのようなその言葉の、響き方が変わっていく体験ができます。


それなりに裕福であること、恵まれていることを恥じたり、罪悪感を持つことが、私もありました。
戦争映画を見るたびに、(どうして自分とこんなに違うのか)と苦しくなることがあって、アイ(主人公)のきもちがよくわかりました。


去年は、身近な人の死を体験して、
(生きていたってどうせ死ぬし、何をしたって、いつかはなくなるし、私のことを覚えてくれているひともいなくなって、そんなの生きている意味がないじゃない)
と、何をする気力も無くなった時期があったのですが、
その答えがここに書いてあったような心地がしています。


『サラバ!』は小学館、『i』はポプラ社から出ていることに驚きつつも、なんだか納得。

西加奈子さんらしい一冊でした。


紋佳🐻