『コンビニ兄弟』


九州だけに展開するコンビニチェーン「テンダネス」。

その名物店「門司港こがね村店」で働くパート店員の日々の楽しみは、勤勉なのに老若男女を意図せず籠絡してしまう魔性のフェロモン店長・志波三彦を観察すること。

なぜなら今日もまた、彼の元には超個性的な常連客(兄含む)たちと、悩みを抱えた人がやってくるのだから・・・。

コンビニを舞台に繰り広げられる心温まるお仕事小説。


「2」が出たと知り、さっそく「1」から。

とあるコンビニで、働いたり、買い物をしたりする登場人物たちの日常が、オムニバス形式でまとめられた物語です。

親友との関係に悩む中高生の悩みから、

夢やぶれた中年、定年後のシルバー世代の悩みまで、

あらゆる世代を描ける町田さんってやっぱり実力があるなあと感心してしまいます。


『多喜二はコンビニを利用したことがほとんどない。なんでも定価で売られているのが気に入らないし、弁当類は添加物まみれだという記事を昔、雑誌で読んだのを覚えているからだ。(略)

純子や七緒にも、スーパーやディスカウントストアを利用する方が節約になるのだから、なるべく使うなと言ってきた。コンビニエンスストアというのはズボラな人間が使うものだ。きちんと生活している者には不要の店だ。』

コンビニ愛あふれる文章を綴りながら、こういう視点も持てる町田さん・・・視野が広くて本当に素敵です。


あの惣菜パンに、あれをちょい足し!

あのレトルト製品を、あれでアレンジ!

コンビニで売られている商品で出来る、おいしい工夫も読んでいて楽しいです。

さあ、「2」がたのしみ。


紋佳🐻

読書