『母親になって後悔してる』


子どもを愛している。

それでも母でない人生を想う。

社会に背負わされる重荷に苦しむ23人の切実な思い。

世界中で共感を集めた注目の書!


『波』で新刊として紹介されていて、予約をしてまで、心待ちにしていた一冊。

私自身が後悔しているというよりは、「後悔している人のきもちを知りたい」という理由で読みたかった本です。

妊婦(現在7ヶ月)が読むには、カバーをつけて読まないと周りの人たちに驚かれてしまいそうなタイトルですね。笑


「今の知識と経験を踏まえて、過去に戻ることができるとしたら、それでも母になりますか?」

という質問に、「ノー」と答える女性が研究対象。

私は、自分自身が強く子どもを望んだというより、「親への恩返し」、そして「夫の夢(子どもがほしいという夢)を叶えるため」に妊活しました。

出産後は、周りの人たちがとても喜んでくれて、サポートしてくれて、我が子にたくさん愛情を注いでくれているので、「自分から強く望んだ出産ではない」割には、いまのところ『後悔』という感情を抱いたことは、幸い一度もありません。

でもそういう周りの人たちのサポート、愛情がなかったら・・・と思うと他人事ではないなあと思います。

(もちろん、本書の中でも、環境的・金銭的サポートが得られず後悔せざるをえない母親もいれば、そもそも本能的に後悔している母親もいて、さまざまなのですが)


「朝、目が覚めたときに子どもがいなくなっていればいいのに」と、子どもそのものを不要と感じている母親もいる一方で、

『後悔は母親になったことであり、子どもではない。子供は愛している』と語る母親も。

この言葉が含む複雑さたるや。


ジークムント・フロイトの研究によれば、

『母はそれ自体が人ではない。母は他者の機能としてのみ存在する。母子の関係において母自身の経験は常に消されているのだ。
母は主体とみなさず、子ども人生の背景にすぎない存在』

と位置づけているのだとか。

これが、とてもしっくりきました。

なるほど、母親というのは、主体性が無視され、他人(子ども)の人生の背景に溶け込んでいくだけのアイデンティティ・・・

確かにそれしかなかったら私も母親になったことを後悔してしまいそう。

母でありながら、「自分の人生を生きていく」ことができたなら、後悔する母親たちの数は減りそうですね。


興味深かったのは、「母親になって後悔している」母親の多くが、責任感が強く、模範的な母親だということ。

世間の求める「理想の母親像」を務める努力をしているということ。

(私のように適当に母親をやっている人間からすると、頭が上がりません)

「後悔を感じれば感じるほど、罪悪感から愛情を注ごうとする」母親もいる・・・だなんて。

読めば読むほど、私自身がいかに『世間の母親像』から逸脱しているか思い知りました。

(え、母親ってそういうものなの・・・?)

と、新鮮で。

ああ、だから私は「母親になって後悔していない」んだわ、と。


「読んでいて辛くならない?」

と、夫に心配されましたが、

後悔している母親たちのインタビューは、オルナさんが論文調(とても堅くて、難しい表現が多いのでお気をつけて!)に、冷静にまとめてくれているので、「客観的」に読むことができます。


世界中でいま話題の一冊。

ご興味のある方は!


紋佳🐻

読書