『室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界』


「日本人は温和」なんて大嘘!

強烈な個性がぶつかり合う、最も「日本らしくない」時代へようこそ。

僧侶は武士を呪い殺し、農民は政界工作を企て、浮気された妻は相手の女を襲撃する―

あなたたち、本当にご先祖様ですか?


数々の仰天エピソードから浮かび上がる中世の日本人は、実は凶暴でアナーキーだった!

想像の「斜め上」を行く、驚愕の日本史エッセイ。


『波』で紹介されていて、即購入したものの、長らく本棚に眠っていた一冊でした。


当時の分量計測の単位のひとつ、「枡」の容積が、地域によって異なることは以前から知っていたけれど、
『スターバックスのSは240ml(280円)、ドトール 150ml(220円)、マクドナルドは175ml(100円)』と、現代における「各社が提供するコーヒーのSサイズの容量の違い」から、

『この国になお「中世」が息づいているかのように思われて、いささか心弾む』と仰る筆者は、とても素敵な変態だなあと思うのでした(褒めています)。


飢餓の多かったその時代の、幼い子供を「身売り」する(それも決して高い値段ではない)光景を想像すると、2歳の息子のいる自分は胸がつまる思いがします。

『春は、現代人にとっては生命の活力蘇る季節として花見だ入学式だと喜ばれるが、中世では三~四月は、前年秋の収穫物を消費し尽くして、五月の麦が収穫される前の、最も飢餓に襲われやすい過酷な季節だった。』

美しく、暖かく、喜ばしい季節が、過酷な季節だったなんて。

歴史を知ると、ものの見方や捉え方の視野が広がりますね。


中世の時代のアナーキーな世界観が学べる&楽しめる本でした。


紋佳🐻

読書