『産めないけれど育てたい 不妊からの特別養子縁組へ』


養子を迎えて「育ての親」になる。

10年以上もの不妊治療、2度の流産、死産。
それでも育てることをあきらめなかった夫婦が、「特別養子縁組」を決意するまでの葛藤と、ドタバタだけれど幸せな子育てを、夫婦それぞれの視点から素直に綴ったエッセイ。

養育期間を経て審判が認められると、戸籍上も実子として認められる「特別養子縁組」は、「新しい家族のかたち」として注目されている。

本書はその貴重な実例であると同時に、夫婦が幸せを模索しながら、それでもあきらめず歩んでいく姿が静かな感動を呼ぶ。

女性の自己実現とは。
家族とは。
夫婦の絆とは。
さまざまな観点から考えさせられる1冊。

巻末に、特別養子縁組の基礎知識を掲載。


10年以上に及ぶ不妊治療の後、子宮腺筋症で子宮全摘出をした麻里奈さん。

精神的にも、経済的にも、どれだけお辛かったことだろう・・・と想像に難くありません。


『「ご縁があれば・・・。でも期待はしないでおこう。」
養子のお子さんを期待することは、困難な母子の出現を期待するのと同じになってしまうと感じていました。』

『電話をしながら部屋の中をぐるぐる歩き回っていました。
心臓はバクバクですが、なぜか冷静を装って対応していたのは、喜んだら不謹慎だと思っていたからかもしれません。』

「養子は迎えたい、けれど、できればそんな不幸なお子さんは居ないに越したことはない」

・・・そんな愛情に溢れた複雑なきもちが伝わってきて、私もいろいろと考えさせられました。


現在2人目を妊娠中の私ですが、妊婦故のままならなさや不安を抱きながらイヤイヤ期真っ盛りの息子(2歳)の相手をしていると、つい声を荒らげてしまったり、泣かせてしまったり・・・。

本人は、数分後にはケロッとしており、『ママ、だぁいすき!』と無邪気に私を愛してくれる。

その度に罪悪感でいっぱいになっていたのですが、この本を読んで、「いのちを授かることができた」その奇跡を再確認することができ、息子のことをたいせつにしたい気持ちでいっぱいになりました。

特別養子縁組に興味がない方でも、子育てに行き詰まったときにぜひ読んで欲しい一冊です。


また、「流産と死産のちがい」、「里親制度と特別養子縁組のちがい」など、知らないことをたくさん知ることができました。

読んでいて胸が締め付けられるような悲しいエピソードさえ、包み隠さずに綴り、真っ正直にこの本を世の中に送り出してくれた、池田ご夫婦に心からの敬意と感謝を。


紋佳🐻

読書