『二番目の悪者』


金色のたてがみを持つ金ライオンは、一国の王になりたかった。
自分こそが王にふさわしいと思っていた。


ところが、街はずれに住む優しい銀のライオンが「次の王様候補」と噂に聞く。


ある日、金のライオンはとんでもないことを始めた―。


登場するのは動物ばかり。
人間はひとりも出てきません。
けれど1ページ目はこの言葉から始まります。


「これが全て作り話だと言い切れるだろうか」


だいすきな杏さんが、「口コミがよかったので買いました」とYouTubeで紹介されていた絵本。

全国学校図書館協議会選定図書(小学校高学年・中学生向け)だそうですが、老若男女が読むべき大人向け絵本でもあります。


冒頭の、

『これが全て作り話だと言い切れるだろうか』

という言葉に、思わず背筋を伸ばし、覚悟を決めてページをめくり始めました。


言ってしまえば、タイトルからも想像のつく物語。

でも、非情なほどに淡々とした文章が、「悪意なき悪」が当たり前に存在している世界を、ストレートに突きつけてくる展開に、イラストに、どんどん恐ろしくなっていきます。


いつ自分も当事者になるか。

・・・もとい、既になっていないか。

最後のページには鳥肌がたち、本を閉じたあとも、しばらく心が冷えきったままでした。


SNSが情報源となったいまの時代に必要なこと、たいせつなことが描かれています。


紋佳🐻