『サイコな世界史』


世界はサイコパスによって作られてきたのではないか。
世界に存在する負の歴史。
差別や現代人の感覚では理解の及ばない儀式、権力の暴走、悲惨な戦争など、本書では、世界で起きてきた負の歴史を「サイコ(サイコパス)な世界史」と定義します。

◎金を求める荒唐無稽な技術・錬金術
→近代化学・工業に欠かせない「硫酸」を発見
◎大義を失い、暴虐の限りをつくした十字軍
→ヨーロッパの商業の発展に寄与
◎キリスト教を残酷に弾圧した豊臣秀吉
→日本人が奴隷になる危機を救う

など、一見「異常」と思える出来事にも、裏には別の目的や成果が隠れていることがあります。

世界の見方、ものの見方まで変えてしまう、知られざる歴史秘話を通して世界の真の姿を探る。
それが、本書の目的なのです。


白人(と呼ばれる肌色に進化した理由についても触れられていました)が、なぜ暴力的に支配地域を広げていったのか、その理由の一つに「ヨーロッパは農耕に適した土地が少なく、狩猟が当たり前の暮らしをしていて、武器が身近にあったこと」などをあげていて、

『サイコパスのような行い』が、なぜ歴史的に起こったのか、その原因や歴史的流れに着目した本で、興味深かったです。


「奴隷貿易」について詳しく書かれた章では、

『アフリカから連れていかれた奴隷の数は1,000万人超だといわれ、主に働き盛りの男性でした。
アフリカでは数百年にわたって若い労働力か流出したため、道路や橋、用水路といったインフラの整備が遅れ、これが今日アフリカが貧困になっている理由の一つとして挙げられています。』

といったように、ある歴史的事象が、現在の世界にどのような影響を与えているか、についても言及しているのがいいですね。


ソ連の隠蔽もあり、日本ではあまり知られていない「ホロドモール」(ソ連がウクライナに対して行った人為的飢餓)。

それが90年前と新しい歴史であることも衝撃的でした。

いま、知ることが出来て良かった歴史のひとつです。


原爆投下の指示を出したのは、元「お飾りだった」副大統領で、当時、共和党の将軍たちは全員が原爆の使用に反対の姿勢だったこと。

その当時、ミイラが万病に効くと、高値で取り引きされ、ミイラの解体ショーがあり、ミイラをすり潰して作られた「マミーブラウン」と呼ばれる顔料が芸術に用いられていた、などなど・・・


サイコかサイコじゃないか、は置いておいて。

シンプルに歴史の参考書でした。

想像していたよりも、真面目な本。


紋佳🐻

読書