『ロールキャベツ』


人生の脚本は、自分で書き換えられる!

夢も趣味もない大学2年生の夏川誠をかえたのは、ただ椅子に座るだけの遊び「チェアリング」の仲間たちだった。

『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』の著者が贈る青春起業小説!

チェアリングとは、椅子を持ち歩いて、好きな場所でくつろぐこと。

さぁ、椅子を持って出かけよう!


おひさしぶりの森沢さん。

森沢さんといえば、海のそばの街を舞台にした小説が多い印象ですが、こちらも、爽やかな海風を感じる作品です。


登場する大人たちが、素敵。

大人だから色々あるけれど、「学生たち(子どもたち)を応援したい」という愛に溢れていて。

強面の不動産屋社長も、主人公のお母さんも、みんな。

中でも千鶴バア(おばあさま)。

「だって、ほら、いまのわたしたちは、過去から見たらいちばん人生経験豊富で、未来から見たらいちばん若々しいでしょ?
何でもできちゃう気がしない?」

千鶴バアのこの言葉、どんな年齢の読者も励まされる、素晴らしい言葉だなと思いました。


何より、あとがきが最高で。

『そうして執筆に取り掛かってからは、もう、ひたすら悶々としていました。
いいなぁ、俺もこいつらの仲間に入りたいなぁ・・・。
一緒に遊んだり、悩んだり、馬鹿やったりして、ハイタッチしたいなぁ―って。』

森沢さんの、登場人物たちへの愛が深く語られていて、「執筆しているご本人でありながら、抱くきもちが読者と同じ!素敵!」と、そこでもきゅんとするのでした。


『というわけで、ぼくはいつか未熟ゆえに愛すべき彼らのその後を書きたいなと、思っています。』

これは、うれしい!

こんなにも、続編が楽しみな作品はひさしぶり。

心より、お待ちしております。


紋佳🐻

読書