『真面目にマリファナの話をしよう』


シリコンバレーの超エリートが、セレブが、続々とマリファナ・ビジネスへ参入!?

日本人が知らない、合法化にいたるまでのアメリカの長い長い歴史と、解禁後のいまを追ってアメリカ大陸を西へ東へ。

マリファナ観光からマリファナ栽培学校まで、世界を席捲する4兆円の巨大市場「グリーン・ラッシュ」の最前線をゆく!


『わたしの外国語漂流記』で出会った、文筆家・佐久間裕美子さんのご著書。

その文章の力強さに惚れ、タイトルが気になったので手にしました。


アメリカ(初めにコロラド州)で、医学的目的・嗜好目的のマリファナ使用が、それぞれどのような歴史を経て合法化へ至ったのか、またその使用・所持ルールなど興味深く読みました。

合法化してしまえば、税収が見込めるほか、クオリティや純度の低いマリファナから、ティーンたちを守ることができる。

いっそきちんと認めて、国で管理しましょう、という考え方ですか・・・なるほど。

その税収は、校舎建設、設備投資、各種助成金制度、中退防止プログラム・・・などに使われ、優秀な学生に与えられる奨学金プログラムが増えたり、貧しい地域の公立学校の校舎が修復されたり、多くのポジティブな例が報告されている。

その一方で、マリファナを理由とした停学や退学の数は増加傾向にある、と。

当然、規制や教育は必要ですね。


NORML(National Organization for the Reform of Marijuana Laws)のキース・ストロップの言葉をそのまま引用します。

「自由な社会において、個人は、他者を危険に晒さない限り、特定のリスクを取ることを、抑制されることはあっても、許可されている。
スカイダイビング、アルコールの摂取、タバコの吸引、過食など、人々はリスクの高い行動に日々、従事する。
それでも逮捕されることはない。
自分は、あなたと同じような価値観を持つ成人の市民でありながら、マリファナを吸引することを選択するというだけで、逮捕の危険に晒されている。」


大麻って、覚せい剤みたいなものでしょ、と思っていた自分こそ、外形的な「ダメ、絶対!」教育(1980年代~)に全身を浸してきた典型的な世代だなあと。

日本で大麻を違法指定したのが、戦後のGHQ。

そのアメリカ国内のルールが変わっているのに、日本はあくまで保守的。

これだけ科学的・医学的エビデンスが積み上げられ、世界中が「マリファナ」に向き直っている時代、日本人の価値観も、変えていかなくちゃいけないはず、心から思いました。

・・・と思って調べてみたら、2022年9月29日に厚生労働省の大麻規制検討小委員会が、大麻取締法などの改正に向けた方向性を取りまとめたことを報道していました!

国内で禁止されている大麻を原料とした医薬品について、有効性・安全性が確認され、薬機法に基づき承認されたものについては、輸入・製造、使用を可能とするよう、大麻取締法を改正する方向性を示しており、その上で、麻向法(麻薬及び向精神薬取締法)に基づく免許制度など、流通管理の仕組みを導入するよう求めているという。

あらあ、このニュース知らなかったなあ。

この本と出会えてよかった。


それにしても、カンナビスの主要成分の薬効に関して、同時に複数の成分を摂取することで個々の効果が増幅され、より高い効果/相乗効果が見込めるという理論を、「アントラージュ効果」と呼ぶのには思わずほっこり。

我が息子が、鹿島アントラーズをまさしく、「アントラージュ」と発音しているのですが、今後は聞く度にマリファナが頭に過ぎりそうです。


紋佳🐻

読書