『方舟』


【2023年本屋大賞ノミネート作】

9人のうち、死んでもいいのは、
ー死ぬべきなのは誰か。

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。

翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。
さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。
いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。

だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。
ー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。
それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。


話題の一冊。

状況説明が多く、全体的にツルツルとしていて、目が滑るような浅い文章だなという印象でした。

こういう絶体絶命、密室設定ものの小説って、どうしてもそうなりがちですが。

タイムリミットがある割に、登場人物たちが悠長に構えている様子も不自然で、初めは読みにくさを感じました。


高校生の息子がいる、社会人をやっているおじさんが、『納得してもらえたですか?』と話すところにも・・・うずうず。

(「もらえたですか」・・・?)

整っていない日本語が苦手な方はご注意を(私は頑張って読み進めました)。


でも終盤の「謎解き」からは面白くなってきて、ラストの展開には手に汗握りました。

何とも言えない余韻も、とても好き。


面白かっただけに、残念な部分が惜しまれる一冊でした。

(意見には個人差があります)


紋佳🐻

読書