『昨日のパスタ』


ベルリンのアパートを引き払い、日本で暮らした一年は料理三昧の日々でした。

春はそら豆ご飯を炊いたり、味噌を仕込んだり。
梅雨には梅干しや新生姜を漬けて保存食作り。

秋は塩とブランデーで栗をコトコト煮込み、年越しの準備は、出汁をたっぷり染み込ませたおでんと日本酒で。

当たり前すぎて気がつかなかった大切なことを綴った人気エッセイ。


小川糸さんのエッセイが好きです。

こちらはコロナ禍の中、綴られたもの。


疲れたり、苦しくなったりしながら、楽しいことを見つけたり、自分のご機嫌をとったり。

季節のめぐりに心通わせながら、旬のものをおいしくいただく姿はたくましく、読んでいて安心感がわいてきます。


『むっちむちの、太ももみたいなホワイトアスパラガスを柔らかく茹でて、そこに薄切りのハムをのせて食べるのが、わたしにとってのいちばんのご馳走だった。』

辛いもの好きとしては、その新芽や実をたっぷり投入した「山椒鍋」が、食べてみたくてたまらない。

火鍋みたいな感じかなあ、食べたい。


今しか出来ないこと、は、コロナ禍に関わらず人生のどの瞬間にもあることで。

そんなたいせつな一瞬を噛み締めながら暮らしていきたい。

そう思わせてくださるのが、糸さんのエッセイ。


紋佳🐻

読書