『競争の番人』


弱くても戦え!

『元彼の遺言状』著者、注目の新鋭が放つ面白さ最高の「公取委」ミステリー。

ウェディング業界に巣食う談合、下請けいじめ、立入検査拒否。

市場の独り占めを取り締まる公正取引委員会を舞台に、凸凹バディが悪を成敗する!


公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。

東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。

二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。


数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。

ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー!


「エンタメ小説を書きたい」と仰っている新川さんらしい作品でした。

頭の中で勝手にキャスティングをしてしまう程。

そしてこちらもドラマ化されていたのですね!(ドラマに疎い)


エリート冷徹系男子と、体育会系義理人情に厚い系女子の組み合わせ・・・そう、ここまでは王道の設定。

でも「公正取引委員会とは」、「法における正義とは」といった深堀りの仕方は、新川さんの1本筋の通った内容で、流石でした!


『巨大な資本を有している会社がさらなる儲けを出すために行う違法行為と、明日をも知れぬ個人経営の店が保身のために行う違法行為は、本当に等しく罰するべきなのだろうか。』

『私たち一人ひとりが、不十分でも弱くても、意志を持って動く。勝ったり負けたり、痛手を負ったり。経済全体としては効率が悪い方法かもしれない。けれども、人任せにしていてはいけない。
一人ひとりの挑戦と試行錯誤が積み重なって、経済が回り、社会がつくられる。そのプロセスこそが競争であり、私たち公取委は競争を守る番人なのだ。』

健全で、民主的な経済活動とは。

考えさせられます。


エンタメとしても楽しめて、世の中のことに目を向けるきっかけをもくれる。

そんな新川さんの作品は、エンタメ業界で、これからも意義ある一石を投じ続けてくれそうです。

2巻目も楽しみ。


紋佳🐻

読書