『こちら空港警察』


成田空港でGS(グランドスタッフ=空港業務スタッフ)として働く咲良は人気の芸人の帰国を知り、芸能人を間近で見れることにワクワクする。

しかし、ゲートに現れた人気芸人・瀬戸は、空港警察に先月から着任したばかりの仁志村賢作に身柄を確保されてしまう。

何と瀬戸には麻薬密輸の容疑が掛かっているらしい。

しかし、瀬戸の身体には麻薬犬もTDS(検査機器)もX線も金属探知機も反応を示さなかった。

とんでもない濡れ衣だと瀬戸は激昂するが、仁志村は意外なモノに着目し、瀬戸を追い詰め始める。


「たかが警察署長がえらい鼻息だな。今に後悔するぞ。」
「後悔なら数知れないほどしている。」

キリッとした台詞に、何度も痺れました。


難しい四字熟語や慣用表現がよく使用されている七里さんの作品。

いつも読んでいて勉強になります。

そんなところも、すき。


会話劇に突入すると、途端に地の文が少なくなるのが、まあ時に物足りなくなることもあるのですが(逆にヒートアップしているときはそのテンポが心地良い)、でもさすが、題材そして構成といった作品の端々に、プロフェッショナルなエンターテインメント性を感じ、楽しませていただきました。


空港を舞台に、飛行機機内、地上カウンター、管制塔といった様々な場所で起こる事件の数々。

・・・面白く読んでいたところに起こった、羽田空港の事故。

どうしてこのタイミングなの。

本作は成田空港が舞台ではありますが、偶然のタイミングに、胃の痛む思い・・・でもがんばって読了。


紋佳🐻

読書