『特殊清掃人』


誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる─。

特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。

彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。

『護られなかった者たちへ』の著者が贈るヒューマン・ミステリー。


短編集だったので、ひとつひとつのミステリ要素は割と軽め。

カジュアルに読めます。


何かと理由を付けて、故人の実家や勤めていた職場、警察などを訪ね情報を集めていく様子(自ら問題事に首を突っ込んでいく様子)や、社長が元刑事だったとか、故人が学生時代バンドを一緒に組んでいた同級生だったといった設定は、都合が良すぎる感じが否めないので、その辺りも許せる人は楽しめると思います。


どのケースも、「明日は我が身」と思わされるような、若かったり、病気を患っていたわけではなかったりする人物ばかり。

独り身の老人だったから・・・で、片付けられない切実さがありました。


「特殊清掃」という業界に興味があって手にした自分だったので、ミステリの要素よりも、ヒューマンドラマを求めていたのかもしれません。

ディテールの重さよりも、エンタメとして軽めのミステリを求めている方には、お薦めの一冊。


紋佳🐻

読書