『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』


1万部を突破した伝説的ヒットの自費出版エッセイ集、新たに17篇を加え、待望の商業出版!

一生懸命生きれば生きるほど空回りするすべての人へ捧げます。

23区に上京したある女の子の東京での生活を中心としたエッセイ集。

せわしない日々からこぼれていく感情や体験をユーモアたっぷりに掬いあげる文章に心がほぐれる全40篇。


話題作!

面白かったです。

次はどんなボールが飛んでくるのか!?と、さまざまな変化球を楽しませてくれる40篇でした。


『過去のこどくな時代のことや、いまも大切にしているキーホルダーのこと、将来の夢は無人島に住むことだとか、炭酸は苦手なこと、首すじに入れたタトゥーの意味や、新聞配達をしていたときに聞いていた音楽だとか、そういうことをひとつ、ひとつ、ひとつ、知るたびに、好きはたしかに、おおきくなった。けれど、そのぶんおそろしかった。その人の言葉や自由で、私がいつかばらばらになることは、すでに決まるように思えた。
「春は花見に、夏は温泉に、秋も温泉に、冬もまあ、温泉に行こう」
そう言われたときは羽が生えるほどうれしかった。』

朝まで呑み明かしたり、唐突に友人を誘って海へ行ったり、公園で花火をしたり・・・

終わりを感じながらなお縋る恋愛も、若くて青くて、むず痒くてたまらない。


『誰かと一緒に暮らすということは、スターバックスでバタースコッチドーナツを頼んだけれど、店員さんがトレーにのせたのはシュガードーナツで、でも別にシュガードーナツも美味しいのでこのままでも良くて、しかしお会計はバタースコッチドーナツの金額になっていて、でもこれは友達がくれたスターバックスのフードチケットで買ったものなのでお会計金額はそんなに関係なくて・・・・・・みたいなほんとうにどうでもいいことを、別にいいんだけど一応誰かに話しておきたいことを、家に帰ってすぐに話せるということです。』

魂が叫ぶままに文章を綴っている熱量が、好きです。

波乱万丈な私生活には、笑うと同時に、懐かしさと切なさをも覚えながら。


2022年の自費出版の単行本化ということで、これからが楽しみなピカピカのエッセイストさんです。


紋佳🐻

読書