『頭のうちどころが悪かった熊の話』


頭を打ってすべてを忘れてしまった熊が探しはじめたのは、愛するパートナー、レディベアだった。
彼女は乱暴だったけど、熊はそんな彼女に会いたかったのだ―

動物世間のよもやま話に奇妙で不思議な現実がみえ隠れ、これって、私たちのこと?

生き物世界の不条理がキュンと胸にしみる、シュールで痛快、スパイシーな7つの寓話集。


哲学なんだよなあ(だいすきです)。

安東さんの児童文学作品は、哲学的で奥深い。

その上、決して大人が思いつかないような、柔らかくて不思議で、ときにぞくりとするアイデアの宝庫で、唯一無二だなと毎回感心してしまいます。


もくじ(各タイトル)が、手書きでかわいらしい。

こちらのこころを解してくれる、童心に返るきっかけをくれるような工夫ですね。


『おたまじゃくしは体も心もおなじ場所にあるから、いったんさみしくなるとどこもかしこもさみしさのかたまりになってしまう。』

読点が少なめなのもまた良くて。

「好きなテンポで読んでくださいね、どこで切っても切らなくても自由です」と言われているようで、ふふんとなってしまうのです。


紋佳🐻

読書