『デルフィニア戦記 放浪の戦士1』


やがて『獅子王』と呼ばれる漂泊の戦士ウォル。

やはり『姫将軍』と呼ばれることとなる異世界からの迷子のリィ。

アベルドルン大陸を震撼させる二人の冒険譚は、ここからはじまった。


人ならざる能力を持った金髪の少女(中の記憶は少年)と、命を狙われている田舎育ちの国王。

まずこの組み合わせが良い。

成人男性(しかも筋骨隆々)を軽々と背負って星明かりのみの森の中を走り逃げきる美少女。

見た目と力関係のギャップにより、一定のファン層を獲得するのは疑いありません。


「ほんとう。ずいぶん、いろいろ見せたのに、そうして平気な顔してる。変わってるよ」

「なあに、つまらない男の見栄というやつだ。それこそこの図体で、おまえのような小さな娘を怖がったのでは格好がつかん」

ここのやりとりが、特にふたりをよく表していて好きでした。

「前の世界では男の子」だったために、口調がさばさばしている&その見た目に反して女らしさと無縁なリィは、この作品を知らないという人は『フリーレンのような子』と伝えたい。


ほか王宮内の官職たちや、将軍たちのキャラクターもそれぞれ豊かで。

個人的には、将軍の娘・シャーミアンが好き。

「わたしが慣れているのは馬ばかりではないのです。
剣術は五歳の時から父に仕込まれました。
その切れ味をあなたご自身のお体で試してごらんになりますか?」

お嬢様なのに強いし、物怖じしないのにお淑やか・・・はい、好きです。


2003年にはじまったこちらの作品ですが、「今月の新刊です」と言われても疑わない程、色褪せておらず驚きました。

『ファンタジーは読まれますか!?』と、前のめりにオススメしてくれたNちゃんに感謝して。


解説の一部を、こちらに抜粋。

『小野不由美の「十二国記」を、そして金庸の武侠小説をお好きな読者なら、迷わず手に取られたい。あなたの読みたい物語がここにあるはずだ。
こういう迫力満点の血湧き肉躍る物語を、ティーンズノベルだからといって年少読者だけに読ませておくのはホント、もったいない。
デルフィニア戦記、さあ、いよいよ開幕である。』


紋佳🐻

読書