『うちの子が結婚しないので』


老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。

28歳独身、彼氏の気配なし。

自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ・・・

不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。

しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。

果たして娘の良縁は見つかるか。

親婚活サバイバル小説!


美醜、年収、学歴、勤務先、親兄弟の学歴、住んでいる場所、身長、体重、舅姑の同居希望・・・

身上書で結婚相手を選ぼうとすると、本当は合うかもしれない相手とも、出会うのが難しそうでした。

実際に会って、(あ、合うかも)と心地いい波長を感じ、相手に興味を持つところから始まった方が健全な気がするのですが、時間が無い、出会いが無いと、そんなことも、言っていられない。

しかも本書で登場するのは、親が本人に代わってパーティーに参加する「親婚活」。

本人同士が会うのは、親同士のフィルターに引っかかった人物・・・これで上手くいく確率はいかほどなのか。


結婚観というのは「世代」によっての違いというよりも、「世帯」によっての違いが大きいのだろうなと思いました。

特に、男性側の母親が専業主婦だったかどうか、この環境因子は強烈。

そんな中でも、「いまは男性も家事をやるべき」と思っている母親もいれば、自分と同じように家族の世話を一手に引き受けて欲しいと思っている母親もいて。


本人同士の恋愛結婚は勢いがある分、離婚率も高い。

でもお見合いのような形で、双方の家柄、価値観のすり合わせをした上での結婚は、たしかに時間はかかるけど、合理的な部分もあるようでした。

垣谷さんの丁寧な人物描写の光る、面白い一冊です。


紋佳🐻

読書