「冬眠族の棲む穴」


25万部突破!

ベストセラー「喫茶ドードー」シリーズの標野凪が贈る、二十四節気のショートショート。

「甘い香りにくるまって、心ゆくまで眠ってしまおう」

今日もおつかれさまでした。

やさしい季節が心をめぐる、とっておきの物語をあなたに。


人間の話だったり、人間じゃない話だったり。

不思議で、風刺がきいていて、たのしかった。

各物語に、「二十四節気」が付けられているのも素敵でした。

『同僚の妊娠は喜ばしいことに違いない。おめでとう、よかったね、と心から言える。
ただ、それによって自分のところに皺寄せがくることを、どう納得させればいいのか。』

『自分が休んでいる間は、同じ部署の同僚や先輩が仕事を割り振って担当してくれる。
彼らの負担が増えることを申し訳なく思いつつも、結局、自分がいなくなっても会社は回るのだと思い知らされた。』

産休・育休にまつわる、この二人の立場の対比よ。

どちらの言い分も分かるだけに刺さるテーマです。

どんな人生を選ぶとしても、自分を幸せにできるかどうかは、自分次第なのだと、自分を納得させて選んでいくしかないと、それが答えな気はします。


初めましての標野さんでしたが、雰囲気がとても好みでした。

どこかノルタルジックなきもちになれる短編集。

一編一編がコンパクトなので、時間に追われているけれど、読書で癒されたいという方におすすめしたい作品。


紋佳🐻

読書