『木漏れ日に泳ぐ魚』


直木賞のみならず、本屋大賞を2度までも受賞した著者の隠れた傑作!


舞台は、アパートの一室。

別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。

初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿-――。

共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始め、〝最後の夜〟に濃密な心理戦が繰り広げられる。かつての恋人は、ひょっとして殺人犯なのか?

過去をめぐる物語は次々と意外な事実を明らかにし、朝の光とともに訪れる真実とは――。


アパートの一室で繰り広げられる男女ふたりの心理戦。

男性目線、女性目線で交互に綴られる形式で、まず「恩田さんっぽい!」と思わされます。


「真実がそんなに大切なのか」というメッセージが、私の心には一番響きました。

真実がわかったところで、それが本当に真実なのか。人の受け取り次第で、それは「真実ではない」のではないか。

切ない恋愛小説であり、巧妙なミステリでした。


#木漏れ日に泳ぐ魚

#恩田陸



紋佳🐻

読書