『東の海 神西の滄海:十二国記』


延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。
先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。

そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。
望みは国家の平和か玉座の簒奪か―

二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。
そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んた争乱の行方は。


もともと敬語が好きな私ですが、立場が下の者が下克上を胸に抱きながら上に挑発、圧をかけるときの敬語がまたいいなあと!

敬語なのに全然敬ってないというか、むしろ下にみているというか、そんな台詞のオンパレードでよかったです。


誰もが平和を望んでいて、戦争なんてしたくないのだけれど、一生懸命に考え抜いた末に兵士になる道を選ぶ、という国民の行動が恐ろしかった。

子ども、家族をまもるために闘う。
前向きな戦争。

そんな世の中に、現実世界ではなって欲しくないと心から思います。


最後に差し込まれている『雁史邦書』のラスト、

『(略)・・・十二国を俯瞰するに、三騎六畜に妖魔を加うるは、是れ惟だ雁国のみ於いてす。』

これを読んで泣きそうになるくらいには、
とても素晴らしい物語でした。


紋佳🐻

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